
「今の派遣先、もう辞めたい…でも、なんて伝えたらいいんだろう?」
「入ったばかりだけど、仕事内容が合わない。すぐに辞めるなんて言いにくい…」
派遣社員として働いていると、職場の人間関係や仕事内容のミスマッチなど、様々な理由で退職を考えますよね。しかし、いざ辞めると決めても、誰に、いつ、どんな理由で伝えれば角が立たないのか、悩んでしまう方は少なくありません。
特に、契約期間の途中や働き始めて間もない時期だと、「迷惑がかかるのでは」「気まずくなりたくない」という不安から、なかなか一歩を踏み出せないものです。
この記事では、そんなあなたの悩みを解決するために、派遣を円満に退職するための具体的な伝え方と手続きを徹底解説します。そのまま使える理由別の例文集から、期間別の注意点、しつこい引き止めへの対処法まで、この記事を読めば、安心して退職準備を進められます。

【理由別】派遣の退職理由と伝え方の例文集

退職理由を伝える際は、本音をそのままぶつけるのではなく、相手が納得しやすいように表現を工夫することが円満退職の鍵です。ここでは、「角が立たない建前の理由」と「本音をポジティブに伝える理由」に分けて、具体的な例文をご紹介します。
角が立たない建前の退職理由と例文
波風を立てずにスムーズに退職したい場合に使える、一般的な理由です。詳細を深く詮索されにくく、多くの場面で活用できます。
◎一身上の都合
「一身上の都合」は、個人的な事情全般を指す便利な言葉です。具体的な理由を話したくない場合に最も使いやすい表現です。
<口頭での伝え方 例文>
「お忙しいところ恐れ入ります。今後のことでご相談があり、お時間をいただきました。大変申し訳ないのですが、一身上の都合により、現在の契約期間満了をもって退職させていただきたく存じます。」
<ポイント>
派遣元の担当者から詳細を聞かれた場合は、「家庭の事情でして」「少しプライベートなことですので」など、差し支えない範囲で補足すると、より丁寧な印象になります。
◎体調不良
心身の不調は、誰にでも起こりうるため、引き止められにくい理由の一つです。実際に通院している場合はもちろん、ストレスなどで働き続けるのが難しい場合にも使えます。
<口頭での伝え方 例文>
「実は、最近体調が優れない日が続いており、医師からも少し休養を取るよう勧められております。大変心苦しいのですが、現在の業務を続けることが難しく、治療に専念するために退職させていただきたく考えております。」
<ポイント>
診断書の提出を求められるケースは稀ですが、万が一に備えて準備しておくと安心です。ただし、無理に偽る必要はありません。「現在の環境で働き続けるのが心身ともに難しい」という事実を誠実に伝えましょう。
◎家庭の事情
家族の介護や看護、パートナーの転勤、結婚など、家庭環境の変化も退職理由として一般的です。プライベートな内容のため、相手も深くは聞きにくい傾向があります。
<口頭での伝え方 例文>
「急な話で大変恐縮なのですが、家庭の事情により、現在の仕事を続けることが難しくなりました。つきましては、契約満了のタイミングで退職させていただけますでしょうか。」
<ポイント>
「親の介護が必要になりまして」「パートナーの転勤が決まり、引っ越すことになりまして」など、差し支えなければ少し具体的に伝えると、より納得してもらいやすくなります。
◎キャリアアップのため
「スキルアップしたい」「正社員を目指したい」といった前向きな理由は、応援してもらいやすく、円満退職につながりやすいです。
<口頭での伝え方 例文>
「こちらで多くのことを学ばせていただき、大変感謝しております。その中で、以前から興味のあった〇〇の分野に本格的に挑戦したいという気持ちが強くなりました。新たなキャリアを築くため、次の契約更新は辞退させていただきたく存じます。」
<ポイント>
現在の職場への感謝を述べた上で、将来の目標を語るのがコツです。「正社員での就職を目指すため」という理由も有効です。
本音の理由をポジティブに伝える例文
人間関係や仕事内容への不満が本音であっても、そのまま伝えると角が立ち、トラブルの原因になりかねません。不満を「個人の希望」や「前向きな課題」に変換して伝える工夫が必要です。
◎人間関係の悩み
「〇〇さんが苦手」「職場の雰囲気が悪い」といった不満は、主観的な表現を避け、客観的な事実や自分の希望として伝えるのがポイントです。
<伝え方の変換例>
- NG例: 「〇〇さんとの相性が悪くて働きづらいです。」
- OK例: 「現在のチームで自分の能力を最大限に発揮することが難しいと感じております。今後は、よりチーム全体で連携を取りながら進めるような環境で、自分の経験を活かしたいと考えています。」
◎仕事内容のミスマッチ
「仕事が合わない」「つまらない」と感じる場合は、自分のスキルやキャリアプランと結びつけて説明しましょう。
<伝え方の変換例>
- NG例: 「毎日同じ作業ばかりで、やりがいを感じません。」
- OK例: 「こちらで〇〇の業務を経験させていただく中で、自分の強みは△△の分野にあると再認識いたしました。今後は、そのスキルをより専門的に活かせる業務に挑戦したく、退職を考えております。」
◎聞いていた労働条件と違う
残業時間や休日、業務範囲などが事前に聞いていた内容と異なる場合は、契約内容を根拠に冷静に伝えることが重要です。
<伝え方の変換例>
- NG例: 「残業が多すぎて無理です。聞いていた話と違います。」
- OK例: 「契約時に伺っていた業務範囲(または勤務時間)と現状に少し相違があり、このままでは長期的に安定したパフォーマンスを維持することが難しいと感じております。大変申し訳ありませんが、契約内容に沿った働き方ができる環境を探したく、退職を希望いたします。」
円満退職するための4ステップと流れ

派遣社員が退職する場合、正社員とは少し手順が異なります。特に重要なのは、最初に相談する相手を間違えないことです。以下の4ステップに沿って進めれば、スムーズに退職できます。
Step1:派遣元(派遣会社)に退職の意向を伝える
- 最重要ポイント
退職の意思は、まず雇用主である派遣元(派遣会社)の担当者に伝えます。派遣先の責任者や同僚に直接伝えるのはマナー違反であり、トラブルの原因になるため絶対にやめましょう。 - 伝えるタイミング
契約更新をしない場合は、契約満了日の1ヶ月前までに伝えるのが一般的です。契約期間の途中で辞めたい場合も、できるだけ早く相談することが大切です。 - 伝え方
まずは電話やメールで担当者にアポイントを取り、直接会って話すのが最も丁寧です。難しい場合は電話で伝えましょう。
Step2:派遣先への報告と退職日の調整
- 誰が伝えるか
派遣先への報告は、派遣元の担当者から伝えてもらうか、担当者同席のもとで伝えるのが基本です。自分で直接伝えるように指示された場合も、事前に派遣元の担当者と伝え方や内容をしっかり打ち合わせておきましょう。 - 退職日の決定
最終的な退職日は、派遣先での業務の引継ぎ期間などを考慮し、派遣元・派遣先・あなたの三者で調整して決定します。
Step3:業務の引継ぎを行う
- 円満退職の鍵
後任者や他の社員が困らないよう、責任をもって業務の引継ぎを行いましょう。引継ぎ資料(マニュアル)を作成したり、口頭で丁寧に説明したりと、誠実な対応を心がけることが、円満退職の最後の仕上げとなります。 - 引継ぎ内容の例
- 日次・週次・月次の業務内容と手順
- 進行中の業務の進捗状況
- 社内外の関係者の連絡先
- ファイルの保管場所
- よくある質問やトラブルシューティング
Step4:備品の返却と必要書類の受け取り
- 最終出社日に行うこと
最終出社日には、派遣先から借りていた備品をすべて返却します。同時に、派遣元から退職後の手続きに必要な書類を受け取ります。 - 返却するもの
- 社員証、入館証
- 健康保険被保険者証(※退職日以降に派遣元へ郵送する場合が多い)
- PC、携帯電話などの貸与物
- 制服、名刺など
- 受け取るもの
- 離職票(失業保険の受給に必要)
- 源泉徴収票(年末調整や確定申告に必要)
- 年金手帳
【期間別】すぐ辞めたい時の注意点と伝え方

「働き始めたばかりだけど、もう辞めたい…」そんな時の伝え方と注意点を、状況別にご紹介します。
契約更新しない場合の伝え方と例文
契約期間満了で退職するのは、最もスムーズでトラブルになりにくい辞め方です。派遣元の担当者に、契約を更新しない意思を明確に伝えましょう。
<伝え方 例文>
「いつもお世話になっております。次回の契約更新の件ですが、今回は更新を辞退させていただきたく、ご連絡いたしました。〇月〇日の契約満了をもって、退職とさせていただけますでしょうか。」
契約期間の途中で辞めたい場合
法律上、「やむを得ない事由」がなければ契約期間中の自己都合退職は原則として認められません。しかし、実際には派遣元に相談すれば合意の上で退職できるケースがほとんどです。
「やむを得ない事由」としては、自身の体調不良や家族の介護などが認められやすいです。仕事内容や人間関係が原因の場合でも、それが心身に不調をきたしている状況であれば、正直に相談してみましょう。
入社後すぐ・1ヶ月で辞めたい場合
入社して1ヶ月以内など、短期間での退職は非常に言いにくいものですが、無理して働き続ける必要はありません。
この場合も、「やむを得ない事由」を伝えるのが基本です。「事前に聞いていた業務内容と著しく異なる」「体調を崩してしまい、業務の継続が困難」といった理由を、正直かつ丁寧に派遣元の担当者に相談しましょう。
3ヶ月・半年で辞めたい場合
3ヶ月や半年経つと、仕事にも慣れ、人間関係も見えてきます。この時期に辞めたいと感じた場合、契約更新のタイミングが近ければ、そこまで待ってから「契約更新しない」と伝えるのが最も円満です。
もし契約期間の途中であっても、「キャリアプランを見直した結果、別の道に進みたい」といった前向きな理由を伝えれば、派遣元も納得しやすいでしょう。

派遣元への退職メールの書き方と例文

まずは電話で連絡するのが基本ですが、担当者が不在の場合や、退職の意思を改めて文書で伝える際にメールを活用します。
退職メールの基本構成とマナー
- 件名
「退職のご相談(氏名)」「退職届(氏名)」など、内容がひと目で分かるように記載します。 - 宛名
会社名、部署名、担当者名を正式名称で記載します。 - 本文
退職したい旨と希望日を明確に伝えます。これまでお世話になった感謝の気持ちも添えましょう。 - 署名
自分の氏名、社員番号、連絡先を記載します。
退職の意向を伝えるメール例文
件名:退職のご相談(派遣 太郎)
株式会社〇〇
〇〇部 〇〇様
いつもお世話になっております。
貴社よりご紹介いただき、株式会社△△にて就業しております、派遣 太郎です。
急なご連絡となり大変恐縮ですが、今後の契約につきましてご相談があり、ご連絡いたしました。
一身上の都合により、現在の契約期間満了日である〇年〇月〇日をもちまして、退職させていただきたく存じます。
本来であれば直接お伺いしてお伝えすべきところ、メールでのご連絡となりましたことをお詫び申し上げます。
後日改めてお電話を差し上げますが、まずはご一報までと思い、ご連絡いたしました。
お忙しいところ恐れ入りますが、ご確認のほどよろしくお願いいたします。
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派遣 太郎
電話番号:090-XXXX-XXXX
メールアドレス:taro.haken@example.com
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退職日確定後の連絡メール例文
件名:退職日確定のご連絡(派遣 太郎)
株式会社〇〇
〇〇部 〇〇様
いつもお世話になっております。
派遣 太郎です。
先日はご多忙のところ、退職の件でご相談の時間をいただき、誠にありがとうございました。
〇〇様とご相談の上、最終出社日を〇月〇日、退職日を〇月〇日とさせていただきたく存じます。
残り短い期間ではございますが、業務の引継ぎをしっかりと行い、最後まで責任をもって務めさせていただきます。
何卒よろしくお願い申し上げます。
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派遣 太郎
電話番号:090-XXXX-XXXX
メールアドレス:taro.haken@example.com
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【緊急】体調不良で即日辞める場合のメール例文
やむを得ない事情で出社できず、即日退職を願い出る場合の例文です。メールを送るだけでなく、必ず電話でも連絡を入れるようにしましょう。
件名:【緊急のご連絡】退職のお願い(派遣 太郎)
株式会社〇〇
〇〇部 〇〇様
いつもお世話になっております。
派遣 太郎です。
急なご連絡となり、誠に申し訳ございません。
実は、以前から体調不良が続いており、本日、医師より当面の間の休養が必要との診断を受けました。
このような状態で勤務を続けることは、周囲の皆様にもご迷惑をおかけすることになると判断し、大変恐縮ではございますが、本日付で退職させていただきたく、ご連絡いたしました。
本来であれば直接お伺いし、お詫びとご挨拶をすべきところ、このような形でのお知らせとなり、誠に申し訳ございません。
業務の引継ぎに関しましては、別途資料を送付するなど、できる限りの対応をさせていただきます。
ご迷惑をおかけしますことを重ねてお詫び申し上げます。
何卒、ご理解いただけますようお願い申し上げます。
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派遣 太郎
電話番号:090-XXXX-XXXX
メールアドレス:taro.haken@example.com
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しつこい引き止めへの対処法と断り方

退職を伝えた際に、後任が見つからないなどの理由で引き止めにあうことがあります。円満退職のためには、上手な断り方を知っておくことが大切です。
引き止められた時の基本的な心構え
- 感謝を伝える
まずは「お気持ちは大変ありがたいのですが」と、引き止めてくれたことへの感謝を伝えます。 - 強い意志を示す
感謝を伝えた上で、「しかし、退職の意思は固まっておりますので」と、決意が変わらないことを毅然とした態度で示します。 - 曖昧な態度は取らない
「考え直します」など、期待を持たせるような曖昧な返事は避けましょう。
強い意志を示す断り方のフレーズ集
- 「大変ありがたいお言葉ですが、退職の意思は変わりません。」
- 「身に余るお言葉、ありがとうございます。しかし、自分なりに熟考して決めたことですので、ご理解いただけますと幸いです。」
- 「ご期待に沿えず申し訳ありません。すでに家族とも相談して決めたことですので、今回は辞退させていただきます。」
- 「ありがとうございます。ただ、次の就職先も決まっておりますので、申し訳ございません。」(※事実の場合)
どうしても辞めさせてもらえない時の相談先
派遣元が「辞めさせない」と脅したり、一方的に損害賠償を請求してきたりするなど、悪質な対応をされた場合は、一人で抱え込まずに外部の専門機関に相談しましょう。
- 総合労働相談コーナー
各都道府県の労働局や労働基準監督署内に設置されており、労働問題に関するあらゆる相談を無料で行えます。(参考:厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/general/seido/chihou/kaiketu/soudan.html) - 法テラス(日本司法支援センター)
国によって設立された法的トラブル解決のための「総合案内所」です。経済的に余裕がない場合でも、無料の法律相談や弁護士費用の立替え制度を利用できます。(参考:法テラス https://www.houterasu.or.jp/)
派遣の退職に関するよくある質問

最後に、派遣の退職に関して多くの人が抱く疑問にお答えします。
退職理由を「言わない」「聞かれない」のは可能?
可能です。退職理由を伝える法的な義務はありません。派遣元の担当者に「一身上の都合で」と伝え、それ以上聞かれなければ、詳しく話す必要はありません。ただし、円滑なコミュニケーションのためには、差し支えない範囲で建前の理由を伝えた方がスムーズに進むことが多いです。
有給休暇は消化できる?
はい、消化できます。有給休暇は労働者に与えられた正当な権利です。退職が決まったら、派遣元の担当者に残りの有給日数を確認し、引継ぎ期間などを考慮しながら消化の計画を立てましょう。派遣先ではなく、派遣元に相談するのがポイントです。
退職届は必要?派遣元に確認
正社員と違い、派遣社員の場合は必ずしも退職届の提出が必要とは限りません。派遣会社によっては、専用のフォーマットがあったり、メールやシステム上での手続きで完結したりする場合があります。まずは派遣元の担当者に「退職届は必要ですか?」と確認しましょう。
次の転職活動で退職理由を聞かれたらどう答える?
面接で前職の退職理由を聞かれた際は、ネガティブな理由をそのまま伝えるのは避けましょう。たとえ人間関係や待遇への不満が本音だったとしても、「スキルアップのため」「キャリアプランを実現するため」といった、ポジティブで前向きな理由に変換して伝えることが重要です。
まとめ

派遣社員が円満に退職するためには、正しい手順と相手への配慮ある伝え方が不可欠です。最後に、この記事の重要なポイントを振り返りましょう。
- 退職の意思は、まず派遣元(派遣会社)に伝える
派遣先の上司や同僚に先に話すのはNGです。 - 退職理由は、ポジティブな表現に変換する
本音と建前を使い分け、感謝の気持ちと共に前向きな理由を伝えましょう。 - 退職の1ヶ月前には意思を伝えるのが理想
契約更新しない場合も、契約期間の途中で辞める場合も、早めの相談が円満退職の鍵です。 - 引継ぎは責任をもって行う
立つ鳥跡を濁さず。誠実な対応が、あなたの信頼を守ります。 - 引き止めには毅然とした態度で、でも感謝は忘れずに
曖昧な態度は取らず、退職の意思が固いことを明確に伝えましょう。
退職を決意し、伝えることは勇気がいる行動です。しかし、正しい知識と準備があれば、何も恐れることはありません。この記事が、あなたの新しい一歩を後押しできれば幸いです。
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