無期雇用派遣とは?正社員との違いを解説

「今の派遣のままで、将来も安定して働けるのかな…」
「派遣会社から無期雇用派遣を勧められたけど、実際どうなんだろう?」
「ネットで『無期雇用派遣はやめとけ』って見たけど、本当…?」

現在、派遣社員として働いている方の中には、このような不安や疑問を抱えている方も多いのではないでしょうか。

この記事では、そんなあなたの悩みに応えるため、「無期雇用派遣」という働き方について、専門家が分かりやすく徹底解説します。

無期雇用派遣の基本的な仕組みから、メリット、そして「やめとけ」と言われる理由(デメリット)まで、すべてを網羅しました。正社員や今の有期雇用派遣との違いを比較しながら、あなたが本当に納得できるキャリアを選択するためのお手伝いをします。

この記事を読めば、無期雇用派遣があなたにとって最適な選択肢なのか、自信を持って判断できるようになるはずです。

無期雇用派遣とは

まずは「無期雇用派遣」がどのような働き方なのか、基本的な仕組みから理解していきましょう。

派遣会社と無期限の雇用契約を結ぶ制度

無期雇用派遣とは、派遣会社の社員として、期間の定めのない雇用契約(無期雇用契約)を結び、派遣先企業で働く雇用形態のことです。

通常の派遣(有期雇用派遣)が派遣先での仕事がある期間だけ雇用契約を結ぶのに対し、無期雇用派遣は派遣先が変わっても、派遣会社との雇用関係は継続します。つまり、派遣会社に所属する「正社員」に近い働き方と言えるでしょう。

この働き方は、常用型派遣とも呼ばれます。

有期雇用派遣(登録型派遣)との違い

有期雇用派遣(登録型派遣)と無期雇用派遣の最も大きな違いは、派遣会社との雇用契約に「期間の定めがあるかないか」です。

具体的に何が違うのか、以下の表で比較してみましょう。

比較項目無期雇用派遣有期雇用派遣(登録型派遣)
雇用主派遣会社派遣会社
雇用契約期間の定めなし期間の定めあり(仕事がある期間のみ)
契約期間無期限最長3年(同一組織単位)
給与形態月給制が多い時給制がほとんど
待機期間中の給与支払われる(休業手当など)支払われない
仕事の選択派遣会社が決定(希望は考慮される)自分で選べる
安定性高い低い

このように、無期雇用派遣は有期雇用派遣に比べて、雇用の安定性が格段に高いことが分かります。

正社員との違い

では、派遣先企業で直接雇用される「正社員」とは何が違うのでしょうか。

最大の違いは「雇用主」が誰かという点です。

比較項目無期雇用派遣正社員
雇用主派遣会社勤務先の企業
指揮命令者派遣先企業勤務先の企業
給与・賞与派遣会社の規定による勤務先企業の規定による
福利厚生派遣会社のものが適用勤務先企業のものが適用
異動・転勤派遣会社の指示で派遣先が変わる勤務先企業の辞令による
昇進・昇格派遣会社内での評価による勤務先企業内での評価による

無期雇用派遣は、あくまで派遣会社の社員です。そのため、給与や福利厚生は派遣会社のものが適用され、仕事の指示は派遣先企業から受けるという少し特殊な関係になります。

無期雇用派遣のメリット

雇用の安定性が魅力の無期雇用派遣ですが、他にも多くのメリットがあります。

雇用と収入の安定性

最大のメリットは、雇用と収入が安定することです。有期雇用派遣のように「次の契約が更新されるか…」という不安や、契約が終了するたびに仕事を探す必要がありません。

また、給与形態が月給制になるケースが多く、毎月の収入が安定するため、将来のライフプランも立てやすくなります。

待機期間中も給与が支払われる

派遣先での仕事が終了し、次の派遣先が決まるまでの「待機期間」が発生した場合でも、雇用契約は続いているため給与(または休業手当)が支払われます

収入が途切れる心配がないため、安心して次の仕事の準備ができるのは、精神的にも大きなメリットです。

派遣会社のキャリア支援を受けられる

無期雇用派遣社員は、派遣会社にとって長期的に活躍してもらう大切な人材です。そのため、スキルアップのための研修制度や、キャリアプランに関する相談窓口が充実していることが多くあります。

「事務スキルを磨きたい」「将来のために資格を取りたい」といった希望に対し、手厚いサポートを受けられる可能性があります。

「やめとけ・後悔」と言われるデメリット

一方で、「無期雇用派遣はやめとけ」「後悔した」という声があるのも事実です。メリットだけでなく、デメリットもしっかりと理解しておきましょう。

給与が上がりにくく賞与が少ない

雇用の安定と引き換えに、給与水準が正社員よりも低めに設定されたり、昇給の幅が小さかったりする傾向があります。また、賞与(ボーナス)が出ない、あるいは寸志程度の少額であるケースも少なくありません。

安定を重視する一方、バリバリ稼いで高収入を目指したいという方には、物足りなく感じる可能性があります。

希望の仕事や勤務地を選べない

有期雇用派遣では自分で仕事内容や勤務地を選べましたが、無期雇用派遣では派遣会社からの業務命令で派遣先が決まるのが基本です。

もちろん、これまでの経験やスキル、希望は考慮されますが、「通勤に時間がかかる職場」や「あまり興味のない業務内容」の仕事を打診される可能性もゼロではありません。必ずしも希望通りの仕事に就けるとは限らない点は、覚悟しておく必要があります。

正社員登用が前提ではない

無期雇用派遣は、あくまで「派遣会社の無期雇用社員」になる制度です。派遣先企業の正社員になることを保証するものではありません

「いずれはこの会社の正社員に…」と考えている場合、無期雇用派遣になることで、逆にその道が遠のいてしまう可能性もあります。派遣先での正社員を目指すのであれば、「紹介予定派遣」など別の制度を検討する方が近道です。

無期雇用派遣になるための条件と方法

無期雇用派遣になるには、主に3つのルートがあります。

同じ派遣会社で5年以上働く(5年ルール)

労働契約法には「無期転換ルール」という制度があります。これは、同じ派遣会社との間で、有期労働契約が更新されて通算契約期間が5年を超えた場合、労働者が申し込むことで無期労働契約に転換できるというルールです。

派遣会社は、この申し込みを断ることができません。これが、いわゆる「5年ルール」です。
(参考:厚生労働省「無期転換ルールについて」

派遣会社の社内選考に応募する

多くの派遣会社では、5年を待たずに無期雇用へ転換できる独自の制度を設けています。これまでの勤務実績やスキル、今後のキャリアプランなどを基にした社内選考に合格することで、無期雇用派遣社員になることができます。

日頃の勤務態度やスキルアップへの意欲が評価されるため、真面目に業務に取り組むことが重要です。

無期雇用を前提とした求人に応募する

はじめから無期雇用派遣社員(常用型派遣)として募集されている求人に応募する方法もあります。この場合、採用されればすぐに無期雇用派遣として働き始めることができます。

特に専門的なスキルや経験を持っている場合、このルートで採用されるケースが多く見られます。

向いている人と向いていない人の特徴

メリット・デメリットを踏まえ、あなたが無期雇用派遣に向いているかどうかをチェックしてみましょう。

無期雇用派遣が向いている人

  • とにかく安定した雇用を求めている人
    契約更新の不安から解放されたい、毎月安定した収入が欲しいという方には最適です。
  • 様々な職場や仕事を経験したい人
    一つの会社に縛られず、色々な環境でスキルや経験を積みたいという方に向いています。
  • ワークライフバランスを重視したい人
    残業が少ない職場を希望したり、プライベートの時間を確保しやすかったりする傾向があります。

まとめ

今回は、無期雇用派遣という働き方について、メリット・デメリットから正社員との違い、なるための方法まで詳しく解説しました。

最後に、この記事の重要なポイントを振り返りましょう。

  • 無期雇用派遣とは
    派遣会社と期間の定めのない契約を結ぶ働き方。雇用と収入の安定が最大の魅力。
  • メリット
    雇用の安定、待機期間中の給与保証、充実したキャリア支援。
  • デメリット(「やめとけ」の理由)
    給与が上がりにくい、仕事を選べない可能性がある、正社員登用が前提ではない。
  • 向いている人
    安定志向で、様々な職場を経験しながらワークライフバランスを保ちたい人。

「無期雇用派遣」は、雇用の安定という大きなメリットがある一方で、働き方の自由度や給与面で妥協が必要になる可能性もある、一長一短の制度です。

大切なのは、ネガティブな評判だけを鵜呑みにせず、その仕組みを正しく理解した上で、あなた自身のキャリアプランや価値観に合っているかを判断することです。

もしあなたが無期雇用派遣に興味を持ったなら、まずは現在登録している派遣会社の担当者に相談してみるか、この記事で紹介したような制度が充実している派遣会社に「話を聞いてみる」ことから始めてみてはいかがでしょうか。

あなたのキャリアにとって、最良の選択ができることを心から応援しています。

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