【2025年】令和7年分年末調整の書き方と変更点を解説

今年も年末調整の季節がやってきました。毎年恒例の手続きですが、「去年のやり方を忘れてしまった」「2025年(令和7年)の変更点って何?」と不安に感じている方も多いのではないでしょうか。

年末調整は、毎月の給与から天引きされた所得税を精算し、払い過ぎた税金を取り戻すための大切な手続きです。正しく申告しないと、受けられるはずの控除が適用されず、損をしてしまう可能性もあります。

この記事では、2025年(令和7年分)の年末調整について、最新の税制改正のポイントから、各種申告書の具体的な書き方、よくある質問まで、初心者の方にも分かりやすく解説します。この記事を読めば、安心して年末調整の手続きを進められますので、ぜひ最後までご覧ください。

2025年(令和7年)の年末調整の変更点

2025年の年末調整は、いくつかの重要な変更点が予定されています。特に、今後の家計に影響する子育て支援金制度扶養控除の改正の動向は必ず押さえておきたいポイントです。

ここでは、現時点で分かっている最新情報をもとに、前年からの変更点を詳しく解説します。

2025年(令和7年)からの変更点まとめ

まずは、2025年の年末調整で知っておくべき主な変更点を一覧で確認しましょう。

変更点内容影響を受ける人
子育て支援金制度公的医療保険料に上乗せして徴収される制度が創設。2026年度から徴収開始予定。全ての公的医療保険の加入者
扶養控除の改正児童手当の拡充に伴い、高校生年代(16歳~18歳)の扶養控除が縮小される見込み。(2026年以降の所得税に適用予定)16歳~18歳の子どもを扶養している人

給与所得控除・基礎控除等・扶養親族要件の見直し
2025年の税制改正により、所得控除額・各種控除額・扶養親族要件が変更になります。全ての給与所得者

※注意: 税制改正の内容は、今後の国会での審議によって変更される可能性があります。必ず最新の情報をご確認ください。

子育て支援金制度の新設

2024年5月に「子ども・子育て支援法」の改正案が可決され、「子ども・子育て支援金制度」が創設されることになりました。

これは、少子化対策の財源を確保するため、公的医療保険(健康保険など)の保険料に上乗せして徴収されるものです。

  • 徴収開始時期
    2026年度から徴収が開始される予定です。
  • 2025年年末調整への影響
    この制度は社会保険料に関するものなので、2025年の年末調整(令和7年分の所得税計算)に直接的な影響はありません。しかし、2026年以降は毎月の手取り額に影響が出るため、今後の家計に関わる重要な変更点として知っておきましょう。

扶養控除の改正

児童手当が2024年12月から拡充(所得制限の撤廃、高校生年代までの支給延長など)されることに伴い、扶養控除の見直しが議論されています。

具体的には、児童手当の支給対象となる16歳から18歳までの高校生年代の扶養控除(現行38万円)が縮小される見込みです。

ただし、この改正は2026年分の所得税から適用される予定です。そのため、2025年に行う年末調整(令和7年分の所得税)には、現行の扶養控除が適用される可能性が高いです。今後の法改正の動向に注意が必要ですが、まずは現行制度の理解を深めておきましょう。

年末調整の基本とスケジュール

次に、年末調整の基本的な仕組みと、2025年の手続きスケジュールについておさらいします。

年末調整とは?確定申告との違い

年末調整とは、会社が従業員に支払った1年間(1月~12月)の給与から源泉徴収した所得税の合計額と、その人が本来納めるべき年間の所得税額を比較し、過不足を精算する手続きのことです。

毎月の給与から天引きされている所得税はあくまで概算のため、年末調整で生命保険料控除や扶養控除などを反映させて、正しい税額を計算し直します。その結果、税金を払い過ぎていれば還付金が戻り、不足していれば追加で徴収されます。

確定申告との違い

年末調整確定申告
手続きする人会社(勤務先)本人
対象者主に会社員、パート・アルバイト個人事業主、年収2,000万円超の会社員、医療費控除を受けたい人など
時期11月~12月頃翌年2月16日~3月15日

年末調整で手続きが完了する会社員は、原則として確定申告は不要です。

年末調整の対象となる人

基本的に、会社に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出している従業員が対象です。

  • 対象となる主な人
    • 1年を通じて勤務している人
    • 年の途中で就職し、年末まで勤務している人(前職の源泉徴収票が必要)
    • パートやアルバイトで、年間の給与収入が123万円を超える見込みの人
    • 給与年収が123万円未満の見込みだが、年間で所得税を給与控除されていた人
  • 対象とならない主な人(確定申告が必要)
    • 年間の給与収入が2,000万円を超える人
    • 2か所以上の会社から給与をもらっている人(メイン以外の会社分)
    • 災害減免法により、源泉徴収の猶予などを受けている人

2025年の手続き期間と提出期限

年末調整の一般的なスケジュールは以下の通りです。会社の指示に従って、期限内に手続きを済ませましょう。

  1. 書類の配布(10月下旬~11月上旬)
    会社から年末調整に必要な申告書が配布されます。
  2. 書類の記入・提出(11月中旬~12月上旬)
    申告書に必要事項を記入し、保険料控除証明書などの添付書類と一緒に会社へ提出します。多くの会社では11月中が提出期限となりますので、早めに準備を始めましょう。
  3. 還付・徴収(12月または翌年1月~2月)
    会社が税額計算を行い、12月または翌年1月の給与で税金の還付または追加徴収が行われます。

年末調整の必要書類と書き方

年末調整では、主に3種類の申告書を使用します。ここでは、それぞれの書類の役割と書き方のポイントを解説します。

(参考:国税庁「[手続名]給与所得者の扶養控除等の(異動)申告」)

扶養控除等(異動)申告書の書き方

正式名称は「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」です。扶養家族の有無にかかわらず、給与所得者は原則として全員提出が必要な書類です。

  • 主な記入項目
    • あなたの情報
      氏名、マイナンバー、住所、生年月日などを記入します。
    • 源泉控除対象配偶者
      あなたの合計所得金額が900万円以下で、生計を同一にする配偶者の合計所得金額が95万円以下の場合に記入します。
    • 控除対象扶養親族
      16歳以上で、生計を同一にする親族(合計所得金額58万円以下)がいる場合に記入します。子どものほか、同居の親なども対象になります。
    • 住民税に関する事項
      16歳未満の扶養親族がいる場合に記入します。所得税の控除対象にはなりませんが、住民税の計算に必要です。

基礎控除・配偶者控除等・特定親族特別控除・所得金額調整控除申告書

正式名称は「給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書」です。1枚で4つの控除を申告する重要な書類です。

基礎控除申告書

合計所得金額が2,500万円以下のすべての人が対象です。自分の年間の給与収入とそれ以外の所得を合計し、給与所得控除額を差し引いた「合計所得金額の見積額」を計算して記入します。

配偶者控除等申告書・特定親族特別控除申告書

配偶者控除または配偶者特別控除を受ける場合に記入します。配偶者の年間の所得見積額を計算し、控除額の区分を判定します。

特定親族特別控除申告書

年齢19歳~23歳未満で、給与収入が188万円以下の扶養親族に該当する方について記入します。

所得金額調整控除申告書

給与収入が850万円を超え、かつ以下のいずれかに該当する場合に記入します。

  • 本人が特別障害者
  • 年齢23歳未満の扶養親族がいる
  • 特別障害者である同一生計配偶者または扶養親族がいる

保険料控除申告書の書き方

正式名称は「給与所得者の保険料控除申告書」です。生命保険や地震保険などに加入している人が、所得控除を受けるために提出します。

  • 生命保険料控除
    保険会社から送られてくる「控除証明書」をもとに、一般生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料の年間の支払額を記入します。
  • 地震保険料控除
    地震保険料や、一定の長期損害保険料の支払額を記入します。こちらも「控除証明書」が必要です。
  • 社会保険料控除
    給与から天引きされている社会保険料以外に、自分で国民年金や国民健康保険料を支払った場合に記入します。
  • 小規模企業共済等掛金控除
    iDeCo(個人型確定拠出年金)の掛金を支払っている場合に記入します。

住宅借入金等特別控除申告書

住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)を受ける人が提出する書類です。

  • 対象者
    住宅ローンを利用してマイホームを購入・新築・増改築した人で、控除を受けるのが2年目以降の人。
    (※1年目は確定申告が必要です)
  • 必要書類
    • 税務署から送付される「年末調整のための住宅借入金等特別控除証明書
    • 金融機関から送付される「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書

この2つの書類をもとに、申告書に必要事項を記入して提出します。

年末調整で受けられる控除の種類

年末調整では、さまざまな「所得控除」を適用することで、課税対象となる所得を減らし、結果的に所得税を安くすることができます。

給与所得控除

給与所得控除とは、会社員の必要経費として、給与収入に応じて自動的に差し引かれる控除です。自分で申告する必要はありませんが、税額計算の基本となるものです。

給与等の収入金額給与所得控除額
1,625,000円まで650,000円
1,625,001円から1,800,000円まで同上
1,800,001円から1,900,000円まで同上

(出典:国税庁「所得税の基礎控除の見直し等について」)

基礎控除

基礎控除とは、納税者本人の合計所得金額に応じて適用される控除です。

給与等の収入金額控除額
200万3,999円以下95万円
200万3,999円超 475万1,999円以下88万円(2027年分~58万円)
475万1,999円超 665万5,556円以下68万円(2027年分~58万円)
665万5,556円超850万円以下63万円(2027年分~58万円)
850万円超2,545万円以下58万円(2027年分~58万円)

配偶者控除・配偶者特別控除

生計を同一にする配偶者がいる場合に受けられる控除です。配偶者の所得によって、どちらの控除が適用されるかが決まります。

  • 配偶者控除
    配偶者の合計所得金額が58万円以下(給与収入のみなら123万円以下)の場合に適用されます。
  • 配偶者特別控除
    配偶者の合計所得金額が58万円超133万円以下の場合に適用されます。(給与収入のみなら123万円超201万5,999円以下)

どちらの控除も、納税者本人の合計所得金額が1,000万円を超えると控除額が減少し、1,000万円を超えると適用できません。

扶養控除

扶養控除とは、子どもや親など、生計を同一にする親族を養っている場合に受けられる控除です。対象となる扶養親族の年齢によって控除額が変わります。

  • 一般の控除対象扶養親族(16歳以上19歳未満、23歳以上70歳未満)
    38万円
  • 特定親族特別控除(19歳以上23歳未満)*変更あり
    63万円~3万円(*63万円を上限に収入により減額されます)
  • 老人扶養親族(70歳以上)
    同居の場合 58万円、同居以外の場合 48万円

生命保険料控除と地震保険料控除

支払った保険料に応じて受けられる控除です。

  • 生命保険料控除
    「一般生命保険料」「介護医療保険料」「個人年金保険料」の3つの区分があり、それぞれ最高4万円、合計で最高12万円の控除が受けられます。
  • 地震保険料控除
    支払った地震保険料に応じて、最高5万円の控除が受けられます。

年末調整のよくある質問(Q&A)

最後に、年末調整で多くの人が疑問に思う点についてお答えします。

パート・アルバイトの年末調整

「パートやアルバイトでも年末調整は必要ですか?」
はい、年間の給与収入が123万円を超える見込みで、勤務先に「扶養控除等申告書」を提出していれば、年末調整の対象となります。123万円未満の方も、その年で所得税を引かれていた場合、年末調整をすることで還付金を受けることができます。掛け持ちしている場合は、メインの勤務先1か所で年末調整を行います。すべての収入を合算して確定申告が必要になる場合もあります。

年の途中で転職・退職した場合

「年の途中で転職した場合はどうなりますか?」
前の会社の「源泉徴収票」を、現在の会社に提出してください。そうすれば、現在の会社が前職分も合算して年末調整を行ってくれます。年末時点で無職の場合は、自分で確定申告を行う必要があります。

還付金が少ない・追加徴収になる理由

「去年より還付金が少ない、または追加で徴収されたのはなぜ?」
いくつかの理由が考えられます。

  • 扶養家族が減った(子どもが就職して扶養から外れたなど)
  • 配偶者の収入が増え、配偶者(特別)控除が受けられなくなった、または減額された
  • 給与や賞与が増えたことで、税率の区分が変わった
  • iDeCoや生命保険の加入をやめたなど、受けられる控除が減った

年末調整を忘れた・間違えた場合

「年末調整の書類を出し忘れたり、内容を間違えたりしたらどうすればいい?」
まず、会社の担当者に相談しましょう。もし社内での再調整が間に合わなかった場合は、翌年に自分で確定申告をすれば問題ありません。払い過ぎた税金を取り戻す「還付申告」は、翌年1月1日から5年間行うことができます。

医療費控除は年末調整でできるか

「医療費がたくさんかかったのですが、年末調整で控除できますか?」
いいえ、医療費控除は年末調整では手続きできません。医療費控除や、ふるさと納税でワンストップ特例を申請しなかった場合などは、自分で確定申告を行う必要があります。

まとめ

2025年(令和7年分)の年末調整は、税制改正という大きな変更点があります。また、段階的な扶養控除の見直しなども控えており、税金の仕組みを理解しておくことの重要性が増しています。

最後に、年末調整をスムーズに進めるためのチェックリストを確認しましょう。

  • □ 会社から年末調整の書類を受け取る
  • □ 生命保険料や地震保険料の「控除証明書」を準備する
  • □ 転職した人は、前職の「源泉徴収票」を準備する
  • □ 各申告書に間違いなく記入する
  • □ 会社の指定する期限内に、必要書類を添付して提出する

年末調整は少し複雑に感じるかもしれませんが、一つひとつ確認しながら進めれば大丈夫です。この記事を参考に、早めに準備を始めて、損のないように正しく手続きを済ませましょう

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