職場の同僚の結婚や出産。喜ばしいことのはずなのに、お祝い金の徴収や飲み会の参加強制に、なんとなくモヤモヤしたり、プレッシャーを感じたりしていませんか?
「みんながお祝いしているのに、断ったら関係が悪くなるかも…」
「善意なのは分かるけど、正直しんどい…」
そんな風に、一人で悩みを抱えている方も少なくないでしょう。そのモヤモヤ、実は「お祝いハラスメント(祝ハラ)」かもしれません。
この記事では、お祝いハラスメントの定義や具体例、ハラスメントかどうかの判断基準を分かりやすく解説します。さらに、角を立てずに上手に断るための具体的なフレーズや、万が一被害を受けた場合の相談窓口まで、あなたの悩みに寄り添い、解決策を提案します。

お祝いハラスメント(祝ハラ)とは?

まず、「お祝いハラスメント」がどのようなものなのか、具体的に見ていきましょう。
お祝いハラスメントの定義と背景
お祝いハラスメント(祝ハラ)とは、結婚や出産、昇進といった個人のライフイベントに対して、本人の意思に反してお祝いを強要したり、プライベートに過度に干渉したりすることで、相手に精神的な苦痛を与える行為を指します。
多くの場合、お祝いを主導する側に悪気はなく、「みんなで祝福するのが当たり前」という善意や親切心から行われます。しかし、その善意が「同調圧力」となり、個人の価値観や経済状況を無視した「強要」に変わってしまったとき、それはハラスメントとなり得るのです。
お祝い金の徴収やプレゼント購入の強制
祝ハラで最も多いのが、金銭に関する強要です。
- 金額を指定して、半ば強制的に部署全員からお祝い金を集める
- 高額なプレゼントの共同購入への参加を強制する
- 断ると「付き合いが悪い」「ケチだ」などと陰で言われる
お祝いしたい気持ちはあっても、経済状況は人それぞれです。お祝いの気持ちを金額で測るような風潮や、それに従わない人を非難する行為は、お祝いハラスメントに該当する可能性があります。
飲み会やイベントへの参加強制
お祝いの名目で開催される飲み会やイベントへの参加を強制するのも、祝ハラの一種です。
- 「主役のために全員参加が当たり前」という雰囲気を作る
- 不参加の理由を執拗に聞いたり、不参加を認めなかったりする
- 勤務時間外のイベントへの参加を強要する
参加が事実上の業務命令のようになっていたり、断ることで不利益を被ったりする場合は、問題となる可能性が高いでしょう。
プライベートへの過度な詮索
お祝いに関連して、プライベートな領域に踏み込みすぎることも問題です。
- 「次はあなたの番だね」「結婚の予定は?」などと執拗に聞く
- 入籍のみで式を挙げない人に対し、その理由を根掘り葉掘り聞く
- 子どもの予定など、デリケートな話題に無配慮に踏み込む
これらの行為は、プライバシーの侵害にあたり、相手に大きな精神的苦痛を与えるハラスメントとなり得ます。
不参加者への非難や仲間外れ
お祝いへの参加を断った人に対して、あからさまに不満な態度を取ったり、仲間外れにしたりする行為は、悪質なハラスメントです。
- 「あの人は協力してくれなかった」と本人に聞こえるように言う
- その後の業務で意図的に情報を与えない、無視する
- 職場の飲み会などに意図的に誘わなくなる
このような行為は、いじめやパワーハラスメントにも発展しかねない危険な兆候です。
これって祝ハラ?判断基準チェックリスト

「自分の職場のこれって、お祝いハラスメントなのかな?」と悩んだときの判断基準を3つのポイントで解説します。
行為に強制性や同調圧力があるか
まず、そのお祝いに「断れない雰囲気」や「強制されている感覚」があるかどうかが大きなポイントです。
- 「全員参加で」「一人〇〇円」と一方的に決められていないか?
- 「お祝いしない=悪」というような空気がないか?
- 任意であるはずのものが、事実上強制になっていないか?
表向きは任意でも、実質的に断ることが許されない状況であれば、ハラスメントの可能性が高いと言えます。
断った場合に不利益を被るか
もしお祝いを断った場合、仕事や人間関係において何らかの不利益が生じるかどうかも重要な判断基準です。
- 上司や同僚からの評価が下がる恐れがあるか?
- 無視されたり、悪口を言われたりする可能性があるか?
- 今後の業務に支障が出ると感じるか?
このような不利益を恐れて、本当は嫌なのに従わざるを得ない状況は、健全な職場環境とは言えません。
精神的な苦痛を感じているか
ハラスメントかどうかを判断する上で最も大切なのは、あなた自身が精神的な苦痛を感じているかどうかです。
周りが「善意だ」「当たり前だ」と思っていても、あなたがプレッシャーを感じ、憂鬱な気持ちになっているのであれば、それはあなたにとってのハラス”メント(嫌がらせ)”です。自分の気持ちを無視する必要は全くありません。
善意とハラスメントの境界線
善意のお祝いとハラスメントの境界線は、「相手の意思や多様性を尊重しているか」という点にあります。
- 善意のお祝い
個人の意思が尊重され、参加・不参加、金額などが自由に選べる状態。 - お祝いハラスメント
「みんなで同じように祝うべき」という画一的な価値観を押し付け、従わない人を排除しようとする状態。
相手に悪気がないケースが多いからこそ、問題が複雑になりがちです。しかし、「善意だから」という理由で、相手に苦痛を与える行為が許されるわけではありません。
お祝いの強制は違法?法的根拠を解説

職場でのお祝いの強制は、単なるマナー違反にとどまらず、法的に問題となるケースもあります。
パワハラ防止法に該当する可能性
2020年6月から施行されたパワハラ防止法(改正労働施策総合推進法)では、職場におけるパワーハラスメントが定義されています。
お祝いへの参加を断った従業員に対して、上司が「仲間外れにしたり、業務上不利益な扱いをしたりする」といった行為は、パワハラの「精神的な攻撃」や「人間関係からの切り離し」に該当する可能性があります。
会社の安全配慮義務違反とは
会社(事業者)は、従業員が安全で健康に働けるように配慮する「安全配慮義務」を負っています。
職場で祝ハラが横行していることを会社が認識していながら放置し、その結果、従業員が精神的な疾患を発症してしまった場合などには、会社が安全配慮義務違反に問われ、損害賠償責任を負う可能性があります。

角を立てずに断る方法と伝え方フレーズ集

ハラスメントだと感じても、職場の人間関係を考えると強く断るのは難しいものです。ここでは、角を立てずに自分の意思を伝えるための方法と具体的なフレーズをご紹介します。
感謝を伝えつつ意思を明確に伝える
断る際の基本は「感謝+理由+意思表示」の3ステップです。
- 感謝を伝える
「お誘いいただきありがとうございます」「〇〇さんのためにお祝いしたい気持ちは山々なですが」など、まずは企画してくれたことへの感謝や、お祝いの気持ちがあることを伝えます。 - 理由を添える(簡潔に)
「あいにく先約がありまして」「最近少し出費が重なっておりまして」など、差し支えない範囲で簡潔な理由を伝えます。詳細に説明する必要はありません。 - 意思を明確に伝える
「今回は見送らせていただきます」「今回は参加が難しく…」など、曖昧な表現ではなく、参加しない(支払わない)意思をはっきりと伝えます。
【例文】お祝い金やプレゼントを断る
「お祝い金集金のご連絡ありがとうございます。〇〇さんのお祝いの気持ちはもちろんなのですが、大変申し訳ありません、今回は皆さんとご一緒するのは見送らせていただきます。個人的にお祝いを伝えたいと思います。」
「プレゼント企画、素敵ですね!ただ、あいにく経済的に少し厳しい状況でして…。今回は気持ちだけ参加させていただけますでしょうか。メッセージカードなどあれば、ぜひ書かせてください。」
【例文】お祝い会への参加を断る
「お祝い会にお誘いいただき、ありがとうございます!ぜひ参加したいのですが、あいにくその日は外せない用事がありまして…。今回は残念ですが、欠席でお願いします。〇〇さんにはまた別途お祝いを伝えますね。」
「楽しそうな会ですね!ありがとうございます。ただ、夜の参加が少し難しく…。大変申し訳ありませんが、今回は見送らせていただきます。皆さんで楽しんできてください!」
断りにくい場合の代替案の提示
どうしても断るのが気まずい場合は、代替案を自分から提示するのも有効な方法です。
- 「今回は参加できませんが、お祝いのメッセージカードがあればぜひ書かせてください」
- 「皆さんとは別に、ランチなどでお祝いさせてください」
- 「高額なプレゼントは難しいですが、〇〇円までならぜひ協力させてください」
このように代替案を示すことで、お祝いする気持ちがあることを伝えつつ、自分の負担にならない範囲で関わることができます。
被害を受けた場合の相談窓口と対処法

もし、断ったことで嫌がらせを受けたり、どうしても断れない状況で深刻な悩みを抱えたりした場合は、一人で抱え込まずに外部に相談しましょう。
社内のハラスメント相談窓口・人事部
多くの企業では、コンプライアンス部門や人事部にハラスメントに関する相談窓口が設置されています。守秘義務を守った上で対応してくれるため、まずは社内の窓口に相談してみるのが第一歩です。相談した事実や内容を記録しておくと、後の対応で役立ちます。
労働組合に相談する
会社の労働組合も、従業員の労働環境を守るための強力な味方です。職場のハラスメント問題について、会社側と団体交渉を行ってくれる場合があります。一人で会社と交渉するのが難しいと感じる場合は、労働組合に相談してみましょう。
社外の専門機関(総合労働相談コーナー)
社内での解決が難しい場合や、社内に相談窓口がない場合は、公的な機関に相談する方法があります。厚生労働省が全国の労働局・労働基準監督署内に設置している「総合労働相談コーナー」では、専門の相談員が無料で相談に乗ってくれます。予約不要で、電話でも相談が可能です。
(参考:厚生労働省 総合労働相談コーナーのご案内 https://www.mhlw.go.jp/general/seido/chihou/kaiketu/soudan.html)
弁護士や法テラスへの相談
嫌がらせが悪質で、精神的苦痛が大きい場合や、会社が全く対応してくれない場合は、弁護士への相談も視野に入れましょう。法的なアドバイスや、代理人としての交渉を依頼することができます。費用が心配な場合は、国が設立した法的トラブル解決の総合案内所である「法テラス」で、無料の法律相談を利用することも可能です。
職場に潜むハラスメントの種類一覧

お祝いハラスメント以外にも、職場には様々な種類のハラスメントが存在します。最近では「ハラスメントの種類が多すぎる」と感じる方もいるかもしれませんが、それだけ多くの人が様々な形で苦痛を感じている証拠でもあります。代表的なものを知っておきましょう。
パワーハラスメント(パワハラ)
職務上の地位や人間関係などの優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える、または職場環境を悪化させる行為です。
セクシュアルハラスメント(セクハラ)
相手の意に反する性的な言動により、労働条件で不利益を与えたり、就業環境を害したりする行為です。性別に関わらず、誰もが被害者・加害者になり得ます。
マタニティハラスメント(マタハラ)
妊娠・出産、育児休業などを理由として、解雇、雇い止め、降格などの不利益な扱いや、嫌がらせを行う行為です。
ノイズハラスメント(大声・独り言)
職場で大きな声で話したり、頻繁に独り言を言ったりすることで、周囲の集中力を削ぎ、精神的な苦痛を与える行為です。音に関する嫌がらせであることから「オトハラ」とも呼ばれます。悪気なく行われることが多いため、指摘しにくいのが特徴です。
モラルハラスメント(モラハラ)
言葉や態度によって、相手の人格や尊厳を傷つけ、精神的に追い詰める行為です。無視、暴言、仲間外れなどがこれにあたります。
その他の最新ハラスメント
時代と共に、新しいタイプのハラスメントも生まれています。
- スメルハラスメント(スメハラ)
体臭や口臭、香水などの「におい」によって周囲に不快感を与えること。 - テクノロジーハラスメント(テクハラ)
PCやITスキルが低い人を見下したり、逆に過度にITツールを使ったコミュニケーションを強要したりすること。 - リモートハラスメント(リモハラ)
リモートワーク中に、プライベートな空間が映り込むことを強要したり、過度に監視したりする行為。
まとめ

今回は、職場の「お祝いハラスメント」について、その定義から具体的な対処法までを詳しく解説しました。
- お祝いハラスメント(祝ハラ)とは、善意を盾にしたお祝いの強要行為
- 「強制性」「不利益」「精神的苦痛」があればハラスメントの可能性大
- 断るときは「感謝+理由+意思表示」で角を立てずに伝える
- 悪質な場合はパワハラ防止法などに抵触する可能性もある
- 一人で悩まず、社内外の相談窓口を活用することが大切
職場でのお祝いは、本来、誰もが心から祝福できる温かいイベントであるべきです。あなたの小さな勇気が、あなた自身を守り、そして職場のいびつな慣習を変えるきっかけになるかもしれません。
もし今、あなたが祝ハラで悩んでいるなら、この記事で紹介した断り方や相談窓口をぜひ参考にしてみてください。一人で抱え込まず、自分を大切にすることを忘れないでくださいね。
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