派遣で社会保険に入りたくない!加入条件と合法的に避ける方法

「派遣で働きたいけど、社会保険には入りたくない…」
「扶養の範囲内で働きたいのに、社会保険に入ると手取りが減ってしまう…」

派遣社員として働くことを考えたとき、社会保険の加入について悩んでいませんか?
社会保険は、万が一の時に私たちを守ってくれる大切な制度ですが、一方で毎月の給料から保険料が引かれるため、手取り収入が減ってしまうのも事実です。

この記事では、派遣で働く際に社会保険への加入を避けたいと考えているあなたのために、以下の点を詳しく解説します。

  • 社会保険に加入せずに働くことは可能なのか
  • 加入が必須になる具体的な条件
  • 合法的に社会保険への加入を避けるための4つの方法
  • 社会保険に加入しない場合のメリットとデメリット
  • 社会保険料が給料からいくら引かれるのか

この記事を読めば、あなたが希望する働き方を実現するための具体的な方法が分かり、安心して派遣の仕事探しを始められるようになります。

派遣で社会保険に入らないことは可能か

結論から言うと、派遣社員が社会保険に加入しない働き方を選ぶことは可能です。ただし、それには一定の条件があります。

加入義務の条件を満たさなければ可能

社会保険(健康保険・厚生年金保険)への加入は、法律で定められた義務です。しかし、すべての派遣社員に加入義務があるわけではありません

法律で定められた加入条件を満たさない働き方であれば、社会保険に加入する必要はありません。つまり、労働時間や契約期間などを調整することで、社会保険に加入せずに働くことが可能になります。

法改正による加入対象者の拡大傾向

注意点として、社会保険の加入対象者は法改正によって年々拡大しています

2022年10月には、これまで「従業員数501人以上」の企業で働く人が対象だったのが「101人以上」に拡大されました。さらに、2024年10月からは「51人以上」の企業へとさらに拡大されました。

これにより、これまで加入対象外だった中小企業で働く派遣社員も、社会保険への加入が必要になるケースが増えていきます。希望の働き方を続けるためにも、最新の加入条件を正しく理解しておくことが重要です。
(参考:厚生労働省「社会保険適用拡大特設サイト」 https://www.mhlw.go.jp/tekiyoukakudai/)

希望の働き方を派遣会社へ伝える重要性

「社会保険には入りたくない」と考えているなら、その希望を正直に派遣会社へ伝えることが最も重要です

「社会保険に入りたくない」という希望は、決してわがままではありません。扶養内で働きたい、手取りを最大限にしたいなど、人それぞれ事情があります。

派遣会社の担当者にあなたの希望(週の労働時間、月の収入上限など)を具体的に伝えることで、条件に合った「社会保険適用外」の仕事を優先的に紹介してもらえる可能性が高まります。隠さずに相談することが、希望の働き方を実現する一番の近道です。

派遣の社会保険加入が必須になる条件

では、具体的にどのような条件を満たすと、派遣社員は社会保険への加入が必須になるのでしょうか。以下の5つの条件をすべて満たす場合に加入義務が発生します。

週の所定労働時間が20時間以上

1週間の契約上の労働時間が20時間以上であることが、最初の条件です。
時間外労働(残業)は含みませんが、契約で定められた時間が週20時間以上であれば対象となります。         (月の労働時間に換算すると、86時間半までが週20時間未満とされます。)

雇用期間が2ヶ月を超える見込み

雇用契約期間が2ヶ月を超えて続く見込みがある場合、加入対象となります。
例えば、「契約期間2ヶ月」の仕事であっても、契約書に「更新する場合がある」といった記載があれば、「2ヶ月を超える見込みがある」と判断され、契約開始初日から加入が必要です。

月額賃金が8.8万円以上

契約上の月収が88,000円以上であることも条件の一つです。
これは年収に換算すると約106万円となり、いわゆる「106万円の壁」と言われるものです。この賃金には、残業代や賞与、交通費などは含まれません。

学生ではないこと

原則として学生は社会保険の加入対象外です。
ただし、夜間大学や通信制の学生、卒業後も同じ会社で働き続けることが決まっている学生などは、加入対象となる場合があります。

勤務先の従業員数が一定数以上

派遣先の企業ではなく、所属する派遣会社の従業員数(被保険者数)が一定数以上である必要があります。この従業員数は、法改正によって段階的に引き下げられています。

  • 2024年9月まで:101人以上
  • 2024年10月以降:51人以上

多くの派遣会社はこの条件に該当するため、他の4つの条件を満たすかどうかが重要になります。

社会保険に加入しない4つの合法的な方法

上記の加入条件を踏まえ、合法的に社会保険に加入せずに働くための具体的な方法を4つご紹介します。

週20時間未満の仕事を選ぶ

最も確実で一般的な方法は、週の労働時間を20時間未満に抑えることです。
例えば、以下のような働き方を探します。

  • 1日4時間 × 週4日勤務 = 週16時間
  • 1日6時間 × 週3日勤務 = 週18時間

派遣会社に「週20時間未満の仕事」を希望していると伝えれば、条件に合う求人を紹介してもらいやすくなります。   (繁忙期などで20時間を超える週があった場合でも、月内で86時間半までに抑えれば、週20時間未満と判断できます。)

契約期間2ヶ月以内の短期派遣を選ぶ

契約の更新がなく、確実に2ヶ月以内で終了する短期・単発の仕事を選ぶのも一つの方法です。
ただし、前述の通り「更新の可能性」が少しでもあると加入対象になるため、契約内容をしっかり確認する必要があります。「短期のつもりが延長になった」というケースは多いため、注意が必要です。

日雇い・単発の仕事に切り替える

1日単位で完結する日雇いや単発の仕事であれば、社会保険の加入条件である「雇用期間が2ヶ月を超える見込み」に該当しません。
自分の好きなタイミングで働きたい方や、特定の期間だけ集中して稼ぎたい方に向いています。

社会保険適用外の求人を探す

派遣会社に登録する際や仕事を探す際に、「扶養内で働きたい」「社会保険に加入しない範囲で」とはっきりと希望を伝えましょう
プロのコーディネーターが、あなたの希望に沿った社会保険適用外の求人を探してくれます。自分で探すよりも効率的で、確実な方法と言えるでしょう。

社会保険に入らないメリットとデメリット

社会保険に加入しない働き方には、メリットだけでなく、将来に関わるデメリットも存在します。両方を理解した上で、自分に合った働き方を選択することが大切です。

メリット…手取り収入が増えること

最大のメリットは、社会保険料が給料から天引きされないため、手取り収入が増えることです。
社会保険料は給与のおおよそ15%に相当するため、その分が手元に残るのは大きな魅力と言えるでしょう。

デメリット1… 将来の年金額が減る

社会保険に加入しない場合、国民年金保険料は自分で納める必要がありますが、厚生年金には加入できません。
日本の公的年金は「国民年金」と「厚生年金」の2階建て構造です。厚生年金に加入しないということは、将来受け取れる年金が1階部分の国民年金のみとなり、受給額が大幅に減ってしまいます

デメリット2… 病気や怪我の保障が少ない

健康保険には、病気や怪我で働けなくなった場合に給料の約3分の2が支給される「傷病手当金」という制度があります。
しかし、社会保険に加入しない場合はこの制度を利用できません。万が一、長期間働けなくなった際に収入が完全に途絶えてしまうリスクがあります。

デメリット3 …国民健康保険料の自己負担

社会保険に加入しない場合でも、日本は国民皆保険制度のため、自分で市区町村の国民健康保険に加入し、保険料を全額自己負担で支払う必要があります
国民健康保険料は前年の所得などによって決まり、自治体によっては会社の健康保険料よりも高くなるケースもあります。「保険料が一切かからない」わけではないので注意が必要です。

派遣の社会保険料は給料からいくら引かれる?

もし社会保険に加入した場合、実際に給料からいくら引かれるのでしょうか。具体的な金額をシミュレーションしてみましょう。

給与の約15%が自己負担額の目安

社会保険料は、健康保険料、厚生年金保険料、介護保険料(40歳以上)、雇用保険料の合計です。会社と折半するものが多いため、自己負担額の目安は給与(標準報酬月額)のおおよそ15%と考えておくと良いでしょう。

※保険料率は都道府県や年度によって変動します。以下は東京都、40歳未満、令和6年度の料率を参考にした概算です。

月収15万円の社会保険料シミュレーション

  • 健康保険料:約7,380円
  • 厚生年金保険料:約13,725円
  • 雇用保険料:900円
  • 合計:約22,005円

手取り額は、150,000円 – 22,005円 = 約127,995円 となります。

月収20万円の社会保険料シミュレーション

  • 健康保険料:約9,840円
  • 厚生年金保険料:約18,300円
  • 雇用保険料:1,200円
  • 合計:約29,340円

手取り額は、200,000円 – 29,340円 = 約170,660円 となります。
(参考:協会けんぽ「令和6年度保険料額表(令和6年3月分から)」 https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g7/cat330/sb3150/r06/r6ryougakuhyou3gatukara/)

社会保険に入りたくない時のQ&A

最後に、派遣の社会保険に関してよくある質問にお答えします。

2ヶ月更新の契約でも加入は必要?

はい、必要になる可能性が高いです。
契約期間が「2ヶ月」でも、契約書に「更新する場合がある」といった趣旨の記載があれば、実質的に2ヶ月を超えて雇用される見込みがあると判断されます。その場合、契約開始初日から社会保険の加入対象となります。

扶養内で働くための年収の壁とは?

扶養内で働くことを考える際には、主に2つの「年収の壁」を意識する必要があります。

  • 106万円の壁
    この記事で解説した、勤務先の社会保険への加入義務が発生する年収の目安です。週20時間以上、月収8.8万円以上などの条件を満たすと、扶養から外れて自分で社会保険に加入することになります。
  • 130万円の壁
    年収が130万円以上になると、働き方の条件に関わらず、配偶者などの社会保険の扶養から外れます。この場合、自分で国民健康保険と国民年金に加入する必要があります。

派遣会社に加入拒否の意思は伝えられる?

加入条件を満たしている場合、法律上の義務であるため加入を拒否することはできません。
もし加入を拒否すると、派遣会社が罰則を受ける可能性があります。ただし、「加入条件を満たさない範囲で働きたい」という希望を伝えることは全く問題ありませんし、むしろ推奨されます。

複数の派遣会社で働いた場合の社会保険

複数の派遣会社で働いていて、それぞれの勤務先では加入条件を満たさない場合でも、労働時間などを合算して条件を満たす場合は、社会保険への加入が必要になることがあります
その場合、主に収入が多い方の派遣会社で加入手続きを行うのが一般的です。働き方が複雑になる場合は、事前に各派遣会社に相談しておくと安心です。

まとめ

今回は、派遣で社会保険に入りたくない方のために、加入条件や合法的に避ける方法、メリット・デメリットについて解説しました。

この記事のポイントをまとめます。

  • 社会保険は、週20時間未満など法律で定められた条件を満たさなければ加入義務はない。
  • 合法的に加入を避けるには、「週20時間未満」「2ヶ月以内の短期」などの働き方を選ぶのが有効。
  • 加入しないメリットは手取りが増えること、デメリットは将来の年金減や病気・怪我の際の保障が少ないこと。
  • 希望の働き方を実現するためには、派遣会社に「社会保険に入らない範囲で働きたい」と正直に相談することが最も重要。

社会保険に加入しない働き方は、目先の手取りが増えるという大きなメリットがあります。しかし、将来の年金や万が一の保障といった長期的な視点で見ると、デメリットも存在します。

どちらが良い・悪いということではありません。あなた自身のライフプランや価値観に合わせて、メリットとデメリットをしっかり比較検討することが大切です。この記事が、あなたにとって最適な働き方を見つけるための一助となれば幸いです。

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