パワハラを見るのが辛い!傍観者のストレス症状と対処法

「職場で同僚がパワハラを受けているのを見るのが辛い…」
「自分は直接の被害者じゃないのに、なぜか気分が落ち込むし、仕事に集中できない…」

職場で繰り返されるパワーハラスメント(パワハラ)。その場にいるだけで、まるで自分が責められているかのように胸が痛み、心身に不調を感じていませんか?

パワハラを目撃するだけの「傍観者」であっても、強い精神的苦痛やストレスを感じるのは決してあなただけではありません。その辛い気持ちは、ごく自然な反応なのです。

この記事では、パワハラの目撃者がなぜ辛い思いをするのか、その原因と具体的なストレス症状を詳しく解説します。さらに、辛い気持ちを和らげるセルフケアや、傍観者として取りうる具体的な行動、そして何よりも「自分自身を守るための考え方」まで、あなたの心が少しでも軽くなるための方法を具体的にお伝えします。

一人で抱え込まず、まずはご自身の心と体のサインに気づくことから始めましょう。

なぜ?パワハラ目撃者の精神的苦痛の原因

パワハラを直接受けていなくても、見ているだけで辛くなるのには明確な理由があります。それは、あなたの心が正常に機能している証拠でもあります。ここでは、その精神的苦痛の主な原因を4つ解説します。

自分も被害者になる「代理受傷」とは

代理受傷とは、他人が受けたトラウマ(精神的外傷)を見聞きすることで、まるで自分が直接体験したかのように心に傷を負ってしまう状態のことです。

被害者の苦痛や恐怖を目の当たりにすることで、その感情が自分にも伝染し、間接的にパワハラの被害者と同じような精神的ダメージを受けてしまうのです。これは、災害救助者やカウンセラーなどにも見られる現象で、共感性の高い人ほど陥りやすいと言われています。

共感しすぎて疲弊する「共感疲労」

共感疲労とは、苦しんでいる人に共感し続けることで、感情的なエネルギーが消耗し、心身ともに疲れ果ててしまう状態を指します。

被害者の辛い気持ちを「わかるよ」と受け止め続けるうちに、いつの間にか自分の心のキャパシティを超えてしまうのです。「助けてあげたいのに何もできない」という無力感も相まって、次第に感情が麻痺したり、逆に過敏になったりすることがあります。

次は自分かもしれないという恐怖感

パワハラの現場を日常的に目にしていると、「明日は我が身かもしれない」という恐怖感が常に付きまといます。

加害者の理不尽な言動を見るたびに、「いつか自分もターゲットにされるのではないか」という不安が募り、常に緊張状態で過ごすことになります。この継続的なストレスは、心と体を確実に蝕んでいきます。

何もできない無力感と罪悪感

パワハラを止めたい、被害者を助けたいと思っても、自分への報復を恐れて行動に移せない…。そんな状況に、「何もできない自分はダメだ」という無力感や罪悪感を抱いてしまうのは自然なことです。

しかし、パワハラは本来、加害者と、それを許容している職場環境に問題があります。あなたが一人で責任を感じる必要は全くありません。

パワハラ目撃で起こる心身のストレス症状

パワハラの目撃による継続的なストレスは、気づかないうちに心と体に様々な不調を引き起こします。ここでは、代表的な症状をリストアップしました。ご自身の状態と照らし合わせて、セルフチェックしてみましょう。

セルフチェックできる精神的症状リスト

  • 気分の落ち込み、憂鬱
    理由もなく悲しくなったり、これまで楽しめていたことが楽しめなくなったりする。
  • 不安感、イライラ
    常に何かに追われているような焦りを感じたり、些細なことで怒りっぽくなったりする。
  • 集中力・判断力の低下
    仕事でケアレスミスが増えたり、簡単な決断ができなくなったりする。
  • 無気力
    何をするのも億劫で、仕事やプライベートへの意欲が湧かない。
  • 人間不信
    職場の人間関係が怖くなり、人を信じられなくなる。

セルフチェックできる身体的症状リスト

  • 睡眠障害
    寝つきが悪い、夜中に何度も目が覚める、朝起きるのが辛い。
  • 頭痛、腹痛、吐き気
    特にストレスを感じる場面(出勤前など)で症状が出やすい。
  • 動悸、息苦しさ
    突然、心臓がドキドキしたり、呼吸が浅くなったりする。
  • 食欲不振または過食
    食事が喉を通らなかったり、逆に食べ過ぎてしまったりする。
  • めまい、耳鳴り
    原因不明のめまいや耳鳴りが続く。

パワハラが引き起こすPTSDと後遺症

パワハラの目撃は、時に深刻な後遺症を残すことがあります。その一つがPTSD(心的外傷後ストレス障害)です。これは、命の危険を感じるような強い恐怖体験の後に、その記憶が心の傷(トラウマ)となって様々な症状を引き起こす精神疾患です。

直接の被害者でなくても、代理受傷によってPTSDを発症するケースは少なくありません。もし症状が長期間続く場合は、専門医への相談が必要です。

辛い記憶が蘇るフラッシュバック

フラッシュバックとは、過去の辛い記憶が、自分の意思とは関係なく、突然ありありと蘇る現象です。

パワハラの場面や加害者の怒鳴り声などが、何かのきっかけで(あるいは突然に)頭の中に再生され、その時の恐怖や不快感を追体験してしまいます。これはPTSDの代表的な症状の一つであり、日常生活に大きな支障をきたすことがあります。

今すぐできる辛さを和らげるセルフケア

辛い状況から抜け出すためには、まず自分自身の心を守る行動が不可欠です。ここでは、今日からすぐに実践できるセルフケアの方法をご紹介します。

信頼できる人に気持ちを話す

一人で抱え込んでいると、ストレスはどんどん膨らんでいきます。家族や親しい友人、あるいは守秘義務のある社内の同僚など、あなたが「この人なら」と思える相手に、今の辛い気持ちを話してみましょう。

ただ聞いてもらうだけでも、気持ちが整理されて楽になることがあります。

パワハラの現場から物理的に離れる

パワハラが始まったら、その場からそっと離れることも有効な自己防衛です。

  • 「少し休憩します」と席を立つ
  • トイレに行く
  • 別のフロアに書類を取りに行くふりをする

このように、一時的にでもパワハラの現場から物理的な距離を取ることで、精神的なダメージを最小限に抑えることができます。

仕事やパワハラから意識を逸らす

仕事が終わった後や休日は、意識的にパワハラのことを考えない時間を作りましょう。

  • 好きな音楽を聴く、映画を見る
  • 軽い運動や散歩でリフレッシュする
  • 趣味に没頭する

仕事とは全く関係のない楽しい時間を持つことで、ストレスで凝り固まった心と体をほぐすことができます。

専門家によるカウンセリングを受ける

「誰に相談していいかわからない」「心身の不調が続いている」という場合は、専門家の力を借りるのが最善です。

カウンセラーや臨床心理士は、あなたの気持ちに寄り添い、専門的な視点から心のケアを行ってくれます。「相談すること」は、自分を守るための積極的な行動です。

傍観者として取りうる具体的な行動

もし、あなたに少しでも行動する余力があるなら、状況を改善するためにできることがあります。ただし、決して無理はしないでください。自分の安全が最優先です。

被害者に寄り添い声をかける

パワハラの後、被害者に「大丈夫?」「ひどいね…」と一言声をかけるだけでも、被害者の孤立感を和らげることができます。

「あなたの味方だよ」というメッセージを伝えることが、被害者にとって大きな支えになります。

信頼できる同僚や上司に相談する

あなたと同じように、パワハラを問題だと感じている同僚がいるかもしれません。信頼できる人に「最近の〇〇さんの言動、どう思う?」と相談してみましょう。

仲間が見つかれば、一人で抱え込むよりも精神的な負担が軽くなります。また、複数人で問題を共有することで、会社への働きかけもしやすくなります。

パワハラの証拠や記録を残す

もしもの時のために、パワハラの事実を客観的に記録しておくことは非常に重要です。これは被害者だけでなく、あなた自身を守るための武器にもなります。

  • いつ(日時)
  • どこで(場所)
  • 誰が誰に(加害者・被害者)
  • 何を(具体的な言動)
  • どのように(どんな状況で)
  • どうなったか(被害者の様子、周りの反応など)

5W1Hを意識して、できるだけ具体的にメモしておきましょう。音声データがあれば強力な証拠になりますが、無断録音はトラブルになる可能性もあるため、まずはメモから始めるのが安全です。

会社の相談窓口や組合へ通報する

多くの会社には、ハラスメントに関する相談窓口(コンプライアンス室など)が設置されています。労働組合も相談先の一つです。

匿名での相談や通報が可能な場合が多いので、まずは制度について調べてみましょう。通報する際は、前述した記録が役立ちます。

何もしない自分を守るための考え方

「行動すべきなのはわかっているけど、怖くてできない…」
そんな自分を責める必要は全くありません。パワハラという異常な状況で、自分を守ることを最優先するのは当然の権利です。

自分の安全とメンタルヘルスを最優先

何よりも大切なのは、あなた自身の心と体の安全です。無理に行動してあなたが次のターゲットになったり、心を病んでしまったりしては元も子もありません。

「何もしない」のではなく、「自分を守る」という最も重要な行動を選択しているのだと考えてください。

傍観者でいることへの罪悪感を手放す

パワハラが起きるのは、加害者の問題であり、それを放置する会社の体制の問題です。傍観者であるあなたが、すべての責任を負う必要はありません。

「自分を責める必要はない」と、意識的に自分に言い聞かせてあげましょう。罪悪感は、あなたの心を不必要に傷つけるだけです。

転職を視野に入れ情報収集を始める

もし、会社の体質そのものに問題があり、改善が見込めない場合は、その環境から離れるのが最も確実な解決策です。

すぐに転職活動を始めなくても、「いざとなれば辞められる」という選択肢があるだけで、心に余裕が生まれます。転職サイトに登録して、他の会社の情報を眺めてみるだけでも、気持ちが前向きになるかもしれません。

社外の無料相談窓口と専門家リスト

社内の人には相談しづらい、会社の対応が期待できないという場合は、社外の公的な相談窓口を利用しましょう。無料で相談できる場所がたくさんあります。

総合労働相談コーナー(厚生労働省)

解雇、雇い止め、賃金の引き下げ、パワハラなど、あらゆる労働問題に関する相談に乗ってくれます。全国の労働局や労働基準監督署内に設置されており、予約不要・無料で専門の相談員が対応してくれます。
(参考:https://www.mhlw.go.jp/general/seido/chihou/kaiketu/soudan.html

みんなの人権110番(法務省)

パワハラは人権侵害にあたる可能性があります。法務局の職員や人権擁護委員が、人権問題に関する相談を受け付けています。電話での相談が可能です。
(参考:https://www.moj.go.jp/JINKEN/jinken110.html

法テラス(日本司法支援センター)

パワハラに関する法的な解決方法を知りたい場合に役立ちます。収入などの条件によっては、無料で法律相談を受けられる制度があります。どこに相談すればよいかわからない時にも、適切な窓口を案内してくれます。
(参考:https://www.houterasu.or.jp/

こころの耳(働く人のメンタルヘルス)

厚生労働省が運営する、働く人のメンタルヘルス不調やストレスに関する情報提供・相談窓口です。電話やSNS、メールでの相談が可能で、パワハラで辛い気持ちを抱えている場合に、専門家に話を聞いてもらえます。
(参考:https://kokoro.mhlw.go.jp/

まとめ

今回は、職場のパワハラを見ているのが辛いと感じる原因と、その具体的な対処法について解説しました。

最後に、この記事の重要なポイントを振り返ります。

  • パワハラの目撃で辛くなるのは自然な反応
    代理受傷や共感疲労など、明確な原因があります。
  • 心身の不調は重要なサイン
    気分の落ち込みや不眠、頭痛などは、ストレスが限界に近い証拠です。見過ごさないでください。
  • まずは自分を守るセルフケアを
    信頼できる人に話す、現場から離れるなど、自分の心を守る行動を優先しましょう。
  • 行動には選択肢がある
    被害者に声をかける、記録を取る、相談窓口へ通報するなど、できることはありますが、無理は禁物です。
  • 「何もしない」も自分を守る立派な選択
    自分を責めず、安全を第一に考えましょう。転職も有力な選択肢です。
  • 一人で抱え込まず外部の専門家を頼る
    公的な無料相談窓口がたくさんあります。

パワハラの目撃による精神的苦痛は、決して甘えや気のせいではありません。あなたは今、非常にストレスフルな環境で、必死に耐えているのです。

どうか自分を責めないでください。そして、あなたの心と体を守ることを最優先に行動してください。この記事が、その一歩を踏み出すきっかけになれば幸いです。

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